旅、そしてコラボレーション No.05

【イギリスへの旅】

2015年、ビスポークの靴職人 福田洋平氏とWILDSWANSの山田氏のイギリス🇬🇧皮革探しの旅に同行させて頂きました。
それは私にとって全てが新鮮で、まるで何本もの大木が森立して創られた森のような、イギリスの歴史ある靴の世界へと迷い込んだ感覚でした。


「車の運転は任せとけ」と威勢良くハンドルを握ったのだが、見た目の割にパワーの無いマニュアルシフトのプジョー。

掌ほどのモノクロ液晶のナビと、次から次に現れる信号の無い交差点 ”Round about” に翻弄され
30年ぶりのエンストと、人生で初めて自分に向けられた渾身の「 F○○○ you !!」にたじろぎながらも、ガタピシと楽しい旅は始まったのでした。

他の2人はといえば、顔面蒼白ではありましたが。

長い旅の途上、3人はマーケットで買った果物をつまみつつ、色々な話をしました。

靴の話、皮革の話、音楽の話、家族の話、これまでの話、これからの話。

福田氏は常に穏やかで、冷静に考え、柔軟に対応する様子は、まさに紳士です。

とことん働いた経験のある人だけが醸し出す余裕と「これを生業にして生きていきます」と言う潔さが清々しく凛とした福田氏の靴には、ビスポークとはいえ、福田氏の人となりが現れているなと感じます。

山田氏は皮革製品はもちろん、ファションや音楽にも造詣が深く、その観察眼やデータの蓄積には脱帽します。
彼もまた、その背後にある人々へ配慮のできる好青年です。特に音楽については熱く熱く、語りだしたら止まりません。

ここで全てを書くことが出来ないのが非常に残念ですが、
沢山のものづくりに携わる人々や街、それらを包む穏やかな風景に出逢えたことは
まるで久しぶりに体のすみずみにまで酸素がいきわたるほどの大きな深呼吸が出来た気分でした。

そして一枚の革との出会いがありました。

【そして2年後】

あれから2年、あの旅から滴った、一滴の雫が作品となって完成しました。
2017年9月30日(土) は福田氏の念願であった既成靴が発売となります。
その日を祝い、ラウンドファスナー『Brutus』とカードホルダー『Shepard』を発売いたします。

私のCreative Community の考えに賛同してくれた親友、WILD SWANSの鴻野氏とはじめた “Walkers” 以来久しぶりにコラボレーションをさせて頂きました。

長財布『 Walkers・kf-001 』 に旅の要素を加え、よりエレガントなイメージで仕上げたい。というビスポークの靴職人 福田洋平氏の要望に応えるため、
財布の構造から皮革部品一枚一枚の厚みの微調整、ファスナーの吟味や素材の調達まで、三者での妥協のないブレインストーミングの末、
素晴らしいチームワークで創り上げました。その仕上がりも素晴らしく、WILD SWANSの若き職人たちへ、最大の敬意と感謝を贈ります。

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